密やかな楽しみ

うちには、不憫(ふびん)なバケツがある。
彼は、まったく何の変わりばえもしないバケツで
実に、よく働くし、非常に重宝されているのだが
一番、よく使う人に、ちょっとだけ意地悪をされているのです。
それは、お風呂の残り湯を洗濯機に移される時
わざと、その人物はお風呂の入り口にバケツを置き
次に、湯を汲みに行く時に、ちょっとだけ彼を蹴飛ばし
邪魔だと言わんばかりの態度を彼にとるのである。
邪魔ならば、もう少し奥に置けばいいものを
わざと側に置いて蹴飛ばすのだ。
一体、何が彼女を突き動かすのかは知らないが
普段は、物を大切に使うことが持論である彼女の
密やかな楽しみとなっているのだ。
それでも、彼は、文句も言わずに今日も彼女のために働くのでった。
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